第83章 【ガクエンサイ】
「それでは、これより青春学園高等部学園祭、通称ブルー、スプリング、フェスティバルの開幕です!」
校長先生の堅苦しい挨拶が終わると、学園祭実行委員長の挨拶で学園祭が始まった。
ブルー、スプリング……って、そんな初めて聞いたサムイ通称も、みんな浮き足立っているこの状況では、会場を盛り上げる起爆剤へと変化する。
派手な音楽と同時に沸き起こる大歓声……
ステージの両脇から勢いよくバク転や側転で登場するダンスチーム。
一際目立つセンターで踊っているのは、言わずもがな英二くん……
すごい……かっこいい……
どうやったら、あんなに素早く動けるんだろう……?
回ったと思ったらしゃがんで、今度は誰よりも高くジャンプして……
英二くんのダンスは、その辺のアイドルグループなんかよりずっとかっこよくて、本当に素敵で魅力的で……
英二くんがオープニングイベントのダンスチームに選ばれたのは、当然知っていたけれど、あえて彼が関係する仕事の担当は避けていたから、実際に目にすることはほとんどなかった。
キラキラ輝いているその笑顔は相変わらず私の胸をときめかせて、そしてその何倍も苦しめる。
大好きで、今は、誰にも邪魔されずに彼を見つめていられるのに、とてもその場にはいられなくて……
パチン!、曲にあわせて繰り出されたウインクにブイサイン。
ドキン!、大きく跳ねる心臓、同時に悲鳴混じりの歓声が沸き起こる。
「すみません、私、少し早いですけど、持ち場に移動します!」
もう、とてもその場にはいられなくて、逃げるように体育館を後にした。
「本日はありがとうございます、こちらにご記名お願いします」
アーチ脇のテントの下、長テーブルとパイプ椅子で作られた受付で、訪問者に記名してもらい、それからパンフレットをお渡しする。
保護者やご家族、卒業生に他校生……
続々と人が集まってきて、あちこちの模擬店では客引きの声が上がっている。