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【テニプリ】闇菊【R18】

第82章 【キョウフノキオク】




「なぁなぁ、小宮山、俺にも教えてよー?」


急に後ろから聞こえて来た男子生徒の声、それからトントンと肩を叩かれた感覚。
その瞬間、ビクッと大きく身体が跳ねてその手を振り払う。


「ご、ごめんなさい、えっと、いいですよ、どれですか?」


慌てて笑顔で取り繕ったけれど、心臓はずっとバクバクしてて……
やっぱり身体に纏わりつく男たちの感触が鮮明に蘇って……


「璃音、どうしたの……?」

「別に、どうもしてませんよ?」


こんなこと、いつまで続くんだろう……
あの男たちへの嫌悪感も、男の人への恐怖も、英二くんへの気まずさも……
終わりの見えないこの状態にまた深いため息をつく。


そんな私を自分の席から英二くんがジッと見ていた……













「……小宮山さん、何かあった……?」


帰り道、そう私に問いかけた不二くんの顔に、いつもの穏やかな笑顔はなかった。
え……?、一瞬、意味がわからず聞き返すと、何か、あった?、そうゆっくりと繰り返す。


何か……?、あ、朝のことで不二くん、気になってるんだよね……


「朝のことなら申し訳ありません、本当にびっくりしただけで……」


慌てて頭を下げると、目に飛び込んで来たのは不二くんのキレイな指……
ゆっくりと、私の頬に伸びてくる……


「不二くん、あ、あの……?」

「シッ、黙って……」


鋭い視線のまま、反対の人差し指を唇に当てる不二くん……
あ、もしかして、私が嫌がるか、試してる……?


大丈夫……不二くんだもん……
今度は朝と違って咄嗟じゃないし、ちゃんと分かってることだもん……
拒絶反応なんか起こしたりしないよ……?
そう自分に言い聞かせながら、そのキレイな指が頬に触れるのを待つ。


ドクン____


……大丈夫なはずなのに……
もう少し、あと少しでその指が頬に触れる、そう思うと騒ぎ出す心臓……
脳裏に浮かんでくるニヤケ顔に、震える腕をもう一方で必死におさえる……

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