第81章 【ゲンジツトウヒ】
「……ン……フウ……ック……!」
いつかーちゃんやねーちゃんにドアを開けられるかわからない状況で、必死に声を我慢する芽衣子ちゃんを何度も突き上げた。
もし気付かれたらどーすんだよ、なんて思いながらも、心の奥底から沸き起こってくる小宮山への愛しさを忘れるために、余計に激しく揺さぶるしかなかった。
ああ、そうだよ……
オレ、やっぱ、どーしようもないやつなんだ……
いや、見ないで!、そう泣き叫んでオレを突き飛ばした小宮山……
目すら合わせてくれない、会話も最低限の返事しか返ってこない……
ガランとしたラブホテル、テーブルの上に取り残された現金……
「……っ、先輩っ……私、先輩が、大す、ン……!」
大好きです、芽衣子ちゃんが行為の最中、何度も口にするその言葉を、今はどうしても聞きたくなくて、慌ててその唇をキスで塞ぐ。
他の女を想いながら、なんて、芽衣子ちゃんにもすげー失礼なのに、今さらかよ……、そう思って自分に嘲笑う。
芽衣子ちゃんの身体をひっくり返すと、その顔が見えない体勢で突き進む。
コエが漏れないように後頭部を抑えて枕に押しつけたまま、メチャクチャな想いの丈をぶちまけた。
……ぶちまけたところで、全然忘れられるはずなんかなくて……
いくら可愛くたって、相手が小宮山じゃない限り、この気持ちが晴れることはないってことくらい分かってんのに、幸せそうに起き上がった芽衣子ちゃんと、また何度もキスを交わして抱きしめあう。
「先輩、昨日、私、1人で寂しかったんです……」
「……ゴメンな、約束、守れなくて……」
暫く抱き合って我に返れば、芽衣子ちゃんに対しての罪悪感が大きくなって……
ずっと一緒にいるって言ったのはオレなのに、誘いを断ったり、約束をドタキャンしたり、小宮山のことばっか考えたり……
「先輩のご家族は素敵ですね……羨ましいな……」
「……芽衣子ちゃんには、オレがいるからさ……?」
ズキン、また激しく胸が痛んでどうしようもなかった……