第81章 【ゲンジツトウヒ】
シャワーを浴びて身体中にかいた汗を流し、母と一緒に軽い朝食を済ませ部屋に戻ると、バフッとベッドに倒れこむ。
途端に襲ってくる倦怠感……
無理もないよね……本当にキツかったから……
はぁ……、大きくため息をつくと、今まで必死に考えないようにしていた昨日の男の人たちの感触を思い出し、ガクガクと身体が震え出す。
ダメ、考えたって仕方がないじゃない……!
誰のせいでもない、私が悪いんだから、そうその嫌悪感を振り払う。
そうだよ、英二くんが駆けつけてくれたおかげで、最後までされなかった分、良かったって思わなきゃ……
時計を確認するともうすぐ9時……
英二くん……ちゃんと起きれたかな……
朝、シャワーを浴びたくて英二くんに声をかけたけど反応がなくて、そっとバスルームのドアを開けたら彼が丸まって寝ていて……
こんな硬くて冷たい床の上で寝せてしまったことに申し訳なく思ったんだけど、その寝顔を見てたら恥ずかしさと情けなさが一気に蘇ってきて、どうしても起こすことができず、結局、そのままホテルを後にした。
本当だったら、ちゃんとお礼を言わないといけなかったのに……
それから、私の危機を察して英二くんに連絡してくれた美沙にも……
そうだ、美沙!!
ガバッと起き上がり携帯を取り出すと、昨日から沢山入っているLINEに目を通す。
美沙、すごく心配してくれているのに、全然連絡できなくて申し訳なかったな……
そのまま急いで無料通話をタップすると、璃音!!、そう美沙は間髪入れずに通話に出た。
『全くもう、やっと連絡くれた!!』
「ごめんなさい、遅くなって……なんかバタバタして……」
『本当に大丈夫だった!?、英二はなんでもないって言うんだけど!!』
「はい、本当に知り合いで……すみません、私がちゃんと話さなかったばっかりに、心配をおかけしてしまって……」
本当のことを美沙に悟られるわけにはいかない……
きっと美沙は自分があのお店に誘ったから、そう責任を感じてしまうから……
そして昨日のカラオケ店に怒鳴り込みに行ってしまうから……
私のことを知られたくないのはもちろんだけど、英二くんのためにも、絶対、大ごとにはしたくない……