第80章 【チカクテトオイヨル】
「小宮山、立てる?、とにかく、こっから出よう?」
「……1人で、帰ります」
服の乱れを整えた小宮山に近づいてそう問いかける。
こんな状態で1人で帰れるはずなんかないのに、それでも小宮山は頑なで……
それだけ、オレなんかとは一緒に居たくないってことで……
当たり前だよな……全部、オレのせいなんだからさ……
だけどこんな小宮山を1人になんかできなくて、フラフラと立ち上がった後に着いて歩き出す。
ドアが閉まる直前、お前はもう来んな、こんな店……、そう店長はオレに向かって呟いた……
「……本当、1人で大丈夫ですから……」
どう見ても全然大丈夫じゃない小宮山が、チラッと振り向いてそう呟く。
その瞬間、フラッとよろめき、そのままその場にヘタリ込んだ。
小宮山!、慌てて駆け寄って身体を支えると、小宮山はビクッと肩を震わせてハァーっと大きく息を吐く。
それから、ギュッとオレのシャツを掴んでフルフルと小さく首を振ると、ポロポロと涙を流した。
こんなんじゃ、家までなんて絶対無理だよな……
電車にも乗せられないし、タクシー……だって相当時間かかるし……
「小宮山、こっち」
「あ、あの……?」
「いいから、黙って着いてきて」
戸惑う小宮山を強引に支えて歩き出す。
向かったのは裏通り、前に小宮山と行ったとことは別の、ラブホテル。
昼間と違ってこの時間はそれなりにライトアップされていて、その存在は一目瞭然で……
「やぁっ!私、入りません、からっ!」
「……なんもしないって、小宮山は嫌かも知んないけどさ、でも他にどうしようもないじゃん?」
そのままじゃ、家になんて帰れっこないって、そう言ってチラッと足元に視線を向ける。
小宮山のスカートから伸びる白い脚には、タラっと愛液が伝ってきていて……
それをオレに指摘されて、かぁっと顔を真っ赤にさせた小宮山は、見ないで、そう力なく呟きその場にしゃがみ込んだ。