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【テニプリ】闇菊【R18】

第14章 【キュウジツ】




「……さようなら、店長さん。もう二度と来ません」


顔を上げた小宮山は、思い切り心閉ざしたツンツン顔になり、買ったものも持たずに走って出て行った。


あーあ、そう思っておっちゃんを見ると、全く状況を理解できてないようで、呆気にとられた顔をしている。


「あ、え?璃音ちゃん!?」

「おっちゃん、やっちゃったねー、オレ、知ーらないっと」

「知ーらない、じゃないよ、菊丸くん!追いかけてあげてよ~!」


やっと状況を理解したおっちゃんが、そう言って必死にオレの背中を押す。
えー、何でオレが?自分が鈍いから悪いじゃん?そう後頭部で腕を組み、面倒くさそうに頬を膨らませる。


「そんなこと言わないで、タイチの餌あげるからさー、それからこれ、璃音ちゃんにサービス!追いかけて謝っておいてよ、貴重なお得意さんなんだよ~!」


サービスってネコ砂5キロ2つ?カリカリ入れたら12キロじゃん!オウムの餌くらいでこれもって追いかけろってのー?そう言ってあからさまに嫌な顔をする。


頼むよ~!そう涙目で必死に手を合わすおっちゃんに、しゃーねーか、昔からの付き合いだし……そう思って大きなため息をついた。


とりあえず小宮山が走り去った方向に向かい、キョロキョロと辺りを見回す。
見回したところで既にどこにも小宮山の姿はなく、ったく何処だよ?そう思ってとにかく走り出す。


あー、何でオレがこんな思いしないといけないわけ?
だいたい小宮山ん家なんて知らないし、闇雲に走ってもダメなんじゃないの?


つーか携帯あんじゃん、そう気がついて立ち止まり小宮山のアドレスを呼び出す。
そういや番号知らないや、とりあえずメール入れとくか……そう思って『すぐ連絡してよ』そう送信する。


だいたい、12キロ持ってランニングって、まるでトレーニングじゃんか……


ちょっと走っただけで既に息が切れ、手足がガクガク来ている……
すっかり鈍ってんじゃん……当然だけどさ……


汗ばんだ額を握り拳で拭うと、深くため息をついた。

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