第14章 【キュウジツ】
「2人とも知り合いなんだ?」
そんなオレと小宮山の様子を見ていたおっちゃんがニコニコしながら、会話に入ってくる。
「うん、同じクラスだよん」
「璃音ちゃん、美人だからモテるだろー?」
「て、店長さん!」
「あー、最近人気急上昇だよねん?」
そう言って小宮山にウインクすると、真っ赤な顔をして慌てて小宮山は俯いた。
「ネコ丸、種類なに?」
「あ……ただの雑種で……」
「へー、ここで買ったんじゃないんだ?」
そう言うオレの問いに、小宮山は俯いたまま、気まずそうな顔をして言葉を濁す。
「璃音ちゃんのネコ丸くんは捨てネコだったんだよー。雨の日の公園で拾ったんだってさ」
そう言うおっちゃんの言葉に、て、店長さん!!と小宮山がスゲー動揺して顔を真っ赤にさせている。
それにしても、捨てネコのネコ丸ねぇ……なーんか、面白い考えが頭に浮かんじゃったじゃん……?
雨、公園、捨てネコ……そのキーワードで容易に思い出される出来事に、少し懐かしさを感じるとともに、小宮山の動揺振りを見て必死に笑いをこらえた。
「それでね、璃音ちゃんったらその時に見かけた男の子に一目惚れしてね、その男の子から名前貰ったんだってさ、璃音ちゃん、可愛いところあるよねー……あれ?……ネコ丸くん……菊丸くん……?」
いや、おっちゃん、気づくのおそいよん?
小宮山、涙目になって震えてんじゃん、そりゃ恥ずかしいよなー、そんな話本人にバラされたらさ。
それにしても、小宮山、あん時からオレのこと好きだったのかー、それは初耳だねー。
つーことはあん時も覗いてたってワケね、ほーんと、覗きが趣味な女だなー……
そう思いながら小宮山をみると、真っ赤な顔をした小宮山と目があったから、わざとニヤリと笑ってみせる。
すると小宮山はますます顔を赤くさせて、それから両手で顔を覆って俯いた。