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【テニプリ】闇菊【R18】

第79章 【ワナ】




「なぁ、アンタ、小宮山璃音ちゃん?」


ビクッと大きく身体が震えた。
……なんで?、思わず振り向いてしまい、やっぱそうなんだ、そうその店員さんのニヤケ顔に全身が恐怖で縮こまった。
しまった、知らんぷりすれば良かった……、そう後悔する一方で、どうして私の名前を知ってるの……?、そう思ったら凄く怖くて……


どうしよう……無視して逃げる……?
でも、なんで……?
顔もばれてるみたいだし……


取り敢えず、この人にこれ以上、関わっちゃダメ、そうパニックで上手く働かない頭に言い聞かせると、振り向いた顔を急いで元に戻して無視をする。
とにかく、早くみんなのところに戻ろう……、そう急いでその場から走り出した。


「待てよ、アンタ、英二の知り合いだろ?」


英二くん!?、走り出した足に思わずブレーキをかけた。
どうしてこの人から彼の名前が……?、そうまた恐る恐る振り向くと、やっぱ、そうなんだ、そう言ってその男は含み笑いをする。


「……どうして……?」

「俺も英二の知り合い、アンタもだろ?」

「そんなこと……あなたに関係、ない……」


なんとか声を振り絞ると、それがカンケー大有り、そう言ってその男は私の前に回り込む。
また逃げ道を塞がれたこの状況に、バクバクと更に心臓が暴れ出す。


「英二に頼まれたんだ、アンタを連れてきてほしいってね」


思いがけない話の流れに、え?、そう顔を上げてその男の顔を見た。


……英二くんが私を呼んでいる……?
英二くんが私を呼ぶなんて、もしかして、苦しんでるの……?


嘘、そんなの、嘘に決まってる……
だったら直接LINEが来るはず……


でも、もし本当だったら……?


私の連絡先なんか、とっくに削除しちゃっていたりしたら……?
自分じゃ連絡できないくらい苦しんでいたら……?


「友達も……一緒に……」


そう、もし苦しんでいたら、美沙やクラスメイトたちだって手を貸してくれる……
私1人がこの人について行く必要ない……

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