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【テニプリ】闇菊【R18】

第77章 【セメテユメノナカデハ】




「……小宮山先輩、まだ何か?」

「……いいえ、菊丸くんに忘れ物を届けに来ただけです」


一年生の靴箱から訝しげな顔で現れた鳴海さんに、ペコリと会釈すると、それでは失礼します、そうもう一度、英二くんに笑顔を向ける。


英二くんから本当に連絡があるかなんて分からないけれど……
彼からしたら余計なお世話かもしれないし、本当ならこんな理由で連絡なんて来ない方がいいんだけれど……


それでも、私の決意は伝えたかったから……
万が一、英二くんが本当に苦しくなったとき、私のこと呼んでいいんだってわかって欲しいから……


くるり、2人に背を向けて生徒会室へと歩き出す。
背中で聞こえる、先輩、帰りましょう……?、そう鳴海さんの促す声と、あ、うん、そだね……、それに答える英二くんの声……
チラッと振り返ると、私の方をジッと見つめる鳴海さんと目があった。


鳴海さん……ごめんなさい、私、英二くんが好きなんです……
たとえ他の人を傷付けても、英二くんの力になりたいんです……


私、こんなに自己中心的な性格だったんだ……
そんな風に心は傷んだけれど、それでも私の決意は揺らがなくて……
顔を上げて前へ……ううん、横かも後ろかもしれない……
けれど、自分が決めた道をまっすぐに進み始めた。


ふと気がついた、廊下の角でこちらの様子を伺っている不二くんの姿……
見てたんですか?、そう言って苦笑いする私を、なかなか戻ってこないから気になってね、そういつもの穏やかな笑顔で迎えてくれる。


「バカだなって思ってます……?」

「小宮山さんが決めたことなら、僕は何も言わないよ」


英二のために、ありがとう、そう続ける不二くんに、自分のためですよ、なんてゆっくりと首を振って返事をする。


そう、自分のため……
大好きな英二くんのためなら、なんだってしてあげたい……


例えそれが、不毛な想いだとしても____




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