第3章 【スベテノハジマリ】
………………ぁん……
……何の音……?
ふと何かの物音が聞こえた気がして顔をあげる。
腕時計を確認すると、まだ5時と言ったところ。
あれからまだそんな時間は経っていない。
周りを見回してみたけれど、特に変わった様子はない。
気のせいかな……?
そう思ってまた視線を手元の本へと戻す。
…………ふぁ……
……気のせいじゃない……
鳴き声……?
猫……?
それはまるで猫の鳴き声に聞こえた。
猫ちゃん……見たい……!
いるのかな……?
どこ……?
ネコ丸のように捨てられた猫ちゃんかな……?
好奇心から立ち上がり、キョロキョロと周りを見回すと、向こうの茂みが小さく揺れるのが見えた。
あ、あそこかな……?
猫ちゃんを驚かせてしまわないように、そっと足音を忍ばせて揺れた茂みに近くと、身を乗りだしてその奥を確認する。
確認した私がそこで見たものは、
まさに今、
恋人達が愛を確かめあう情事の真っ最中だった___