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【テニプリ】闇菊【R18】

第77章 【セメテユメノナカデハ】




それに気がついてしまった……
すぐ近くで見た彼の手首に貼られた複数の絆創膏……
英二くんのそれは、一般的な擦り傷や切り傷に貼られるそれとはまるで別物……


英二くん、これ、苦しい時のおまじないでしょ……?
痛いの、痛いの、飛んでけって貼り付けたんでしょ……?
きっと、身体のあちこちに、沢山、貼ってあるんでしょ……?


どうして……何がそんなに苦しいの……?
胸がギューっと締め付けられる……
無意識に、本当に自然と、英二くんの髪に手を伸ばした……


そっと撫でる英二くんの外ハネの髪……
ピクッと少しだけ英二くんの身体が反応し、慌ててその手を引っ込める。
び、びっくりした……、起こしちゃったかと思った……
ふうーっと大きく息を吐いて、それからもう一度手を伸ばし直す。


英二くん……、今度はしっかりと触れた髪の毛……
ゆっくりと癖沿いに指先を流す……


久々に触れた英二くんに胸がドキドキと高鳴って、それからキューッと切なくなる……
英二くんはいつも私の髪を大好きって言ってくれたけど、私だってこの癖っ毛が大好きで……
笑顔満点のときは元気に跳ねるし、悲しそうなときはシュンと下向きになるし、怒るとどこか逆立って見えるそれ……


今は、この外ハネもどこか苦しそう……


「大丈夫……大丈夫……」


小さい声で何度も繰り返す……
以前、英二くんが苦しくなったとき、私の胸で涙を流していたときと同じ……
そうすると、険しい眉間のシワがなくなって、少しずつ穏やかなものになっていく気がして……


もう行かなきゃ、いい加減、起こしちゃう……
勝手なことすんなって、怒られちゃう……


それでもやっぱり離れがたくて、あと少しだけ、もう少しだけ、そう自分に言い訳をする。
でも何度か繰り返した次の瞬間、英二くんの目がゆっくりと開いて、パチリと視線がぶつかった。


ドキン、大きく跳ねる心臓と身体……
や、やだ……!、慌ててその手を離して、数歩、後ずさりする。

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