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【テニプリ】闇菊【R18】

第77章 【セメテユメノナカデハ】




クローゼットからシャツを取り出した瞬間、ドキッと胸が高鳴って、それから、このシャツを着てた英二くんに抱きしめられたんだっけ……、なんて思い出したら切なくて……


よせばいいのにそっと頬を寄せると、途端に涙が溢れ出す……
シャツに染みが出来てしまい、慌てて涙を拭ったけれど、それでも全然止まらなくて……
いいや、どうせ洗い直すし、なんて開き直ると、そのままシャツに顔を埋めて、英二くんの名前を呼びながらしばらく泣いた。


涙がおさまるとシャツを洗い直して、乾いたらそれを紙袋にしまう。
それから、避妊具の箱も入れようとしたところで、これを鳴海さんと使うのかな?、なんて当たり前なことを考えちゃって、また視界が涙で滲み、慌ててそれをシャツの間に押し込んだ。


だから、泣いちゃダメだってば!
いつまでもメソメソしてたって、何も変わらないんだから……


そう、何も変わらない、変わらなきゃならないのは私のほう……
決めたじゃない、小説に打ち込むって……
そう紙袋から原稿用紙へと持ちかえると、よしっと気合を入れてペンを走らせた。








紙袋を英二くんのカバンの隣に立てかける。
良かった……これなら英二くん、ちゃんと気づいてくれるよね……
直接渡す勇気はないし、シャツだけじゃなくて避妊具も入っているから、恥ずかしくて不二くんや美沙にお願いも出来なくて……
ちゃんと英二くん本人に渡せる機会ができて、ほっと胸をなでおろす。


そういえば……ちび丸は私が持っていてもいいよね……?
英二くんだって、返されても困るだろうし……
元彼からのプレゼントを未練がましく持ち続けるなんて、重い女かもしれないけれど……


でも……捨てれないもん……


自分のカバンからちび丸を取り出すと、そっとそれに頬ずりをする。
英二くんの小五郎はもう捨てられちゃったかな……?
また胸が苦しくて涙が溢れそうになり、必死にそれをこらえて生徒会室へと向かった。

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