第14章 【キュウジツ】
なんだよ、あれで隠れてるつもりかよ?そう思ったら可笑しくて、こっそり近づいて声をかけると、スゲーびっくりした顔をして振り向いた。
そんな小宮山の隣に座ると顔を赤くして、ホーント、バカなやつ、そう思って寝転んだ。
空を見上げると、いつも胸が苦しくなる。
あの日の夜のような不安感や絶望感は起きないけれど、心の奥で何かがつかえて息苦しくなる。
苦しくなるくせに、なぜかいつも空を見上げずにいられない自分にイライラする。
そんなオレに何かあったかと問いかける小宮山に、ハッとして顔をあげた。
なんでって聞くと、ムリしてそうなんて言うから、なにわかったようなこと言ってんだよ?って腹立って、でもその一方でなんで気が付くんだよ?って泣きそうになった。
結局何でもないふりをしていつものように小宮山を引き寄せると、珍しく素直に応じた挙げ句、笑って甘えてまできたから、なんかあったのは小宮山の方じゃんって思った。
結局何があったのかは教えてくれなかったけど、ま、素直になることはイイことじゃん?
メンドーなこともなくなるし。
そんな風に考えて、あとはいつものようにそのまま情事になだれ込んですっきりすると、もうなんでもいーやって小宮山のことを考えるのはやめた。
そう、やーめ、やめ!
なんでオレ、小宮山の事なんて考えてんだよ、くだんないっての。
ふと顔を上げると懐かしい店が目に留まる。
あー、中学の頃はよく通ったなー、どうせ暇だし久しぶりに覗いてみるか、そう思って笑顔を作ると、懐かしい熱帯魚屋へと駆け出した。