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【テニプリ】闇菊【R18】

第76章 【アノヒ】




「芽衣子ちゃん……オレさ……あの男とおんなじなんだ……」


オレのその言葉に、芽衣子ちゃんが不思議そうな顔をする。
オレだって……一人だけ……
少しためらって、それから意を決して話し始める。


「……無理やり犯したこと……あるし、動画とって脅して……言うこと、聞かせた……」


鮮明に思い出す、あの時の小宮山の必死の抵抗……そして涙……
あんな酷いことしたのに、こんなオレのこと、好きだって許してくれた……


泣かせたぶん、幸せにするって誓ったけれど……
一生、大切にするって約束したけれど……


「……そんでもさ……芽衣子ちゃんが、こんなオレでもいいって言ってくれるなら……」


小宮山……ゴメン……本当に……ゴメン……


小宮山のことがいらなくなったわけじゃないんだ……
オレのこと、闇の底から救いだしてくれたことは、本当に感謝しているんだ……


だけど……だけど……


芽衣子ちゃんは、ガキの頃のオレだから……
この時が止まったような部屋に、たった一人きりだから……


「オレ、芽衣子ちゃんと、一緒にいるよ……」


目を見開いてオレの顔を見る芽衣子ちゃん……
信じられない、と言う様子で、え?、そう聞き返すその耳元から、指を通して髪を撫でる……


緩いウェーブがかった柔らかい癖っ毛……
小宮山のサラサラとは違うフワフワのそれ……


ひとまとまり摘み上げて、髪にキスを落とす……


「オレは酷いやつだから、芽衣子ちゃんが選んで……?」


オレは家族に恵まれて、暖かい家庭と幸せを手に入れた……
小宮山は最初から、素晴らしい両親に恵まれている……


一人の辛さと怖さを一番知っているのはオレだから……
知っているから、オレ、芽衣子ちゃんを放っとけないんだ……


「先輩は……あの男とは全然、違う……なんども私を助けてくれた……」


だから、小宮山、本当にゴメンな……?
先輩、大好き、そう嬉しそうに頬を染めた芽衣子ちゃんの唇に、ゆっくりとキスをした。

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