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【テニプリ】闇菊【R18】

第74章 【ウチコメルモノ】




ギリリ、力が篭る不二くんの腕……
それは私の身体を締め付けて、息をするのも辛いほど……
苦しっ……、思わず顔を歪めると、ハッとした不二くんが、ゴメン、そう慌てて私の身体を解放する。


「ゴメン、小宮山さん、つい……」

「いいえ、大丈夫です……、ただ、ちょっとビックリしただけで……」


我に返った不二くんは、本当に申し訳ない顔をして謝ってくれるから、逆に私の方が恐縮してしまって……
こんな不二くん、珍しいな……、なんて思いながら、本当に気にしないでくださいね……?、そう言って少しでも安心してもらえるように笑顔を向けると、本当にゴメン、そう不二くんはもう一度頭を下げて、それから深いため息をついた。


「小宮山さん……僕は別に英二のことがあったから君と親しくしているわけじゃないよ……」


確かに最初のきっかけは英二だけどね……、そう続ける不二くんの目はどこか寂しそうで……
それは彼が時々見せる、英二くんとは違うそれと同じで……


「鳴海さんにも僕たちの間に割り込ませたりしない……、英二だってそんなことしないよ……」


サッと目の前に差し出された手……
えっと……、戸惑いながらその手と不二くんの顔を交互に見つめる。


「……小宮山さんが嫌なら無理にとは言わないよ……?」


嫌……ではないけど……でも、いいのかな……?
甘えちゃって、いいのかな……?


ゆっくりとその手に自分の手を伸ばす。
英二くんのことで何度も甘えさせてもらってるけれど……
申し訳ないなって思っているけれど……


でも、今は、人の温もりが、暖かい……


そっと重なった手を不二くんがギュッと握りしめる。
その力強さに戸惑って、見上げた不二くんの顔にドキッとする……


それは、いつもと同じ笑顔なのに……
普段の穏やかなものと何も変わらないのに……


なんでだろ……?
一瞬だけ高鳴った胸の動機を不思議に思いながら、その繋がれた手に引かれるまま歩き出す。


そんな2人を、今夜も綺麗に輝く月の光が照らしていた。

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