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【テニプリ】闇菊【R18】

第74章 【ウチコメルモノ】




「本当に小宮山先輩、一緒に行かないんすか?」

「はい、母が待ってますので……誘ってくださって嬉しかったです」


青春台の駅前、ハンバーガーショップの前で桃城くんが残念そうな顔を見せてくれる。
皆さんの行きつけだというこのお店は、以前、英二くんとコンテナの上で食べたそれを買ったところ。


あの時みた夜景と星がすごくキレイで……
そのあと色々あって、でもその日、英二くんと両想いになれた……


ブンブンと慌てて大きく首を振り、落ち込む気持ちを置い払うと、そんな私に皆さんがびっくりした顔をする。


「あ、なんでもないんです、私はこれで……不二くんはどうぞ皆さんとご一緒……」

「しないよ、さ、帰ろう」


そう言って促し私の自宅方向へと一歩、歩みを進める不二くん……
不二くんの友達づきあいの邪魔をしてるみたいで申し訳ないな……、なんて思うんだけど、そんな私の考えは相変わらずお見通しのようで……


「今更、あいつらと一緒にいるより、小宮山さんと2人で帰った方がずっと楽しいからね」

「……そんなこと言ったら皆さんに悪いですよ?」


ペコリと頭を下げて苦笑いしている皆さんに挨拶すると、不二くんの隣に並んで歩き出す。
そんな私たちを眺めながら、大人しく不二先輩にしときゃいいんだ、そうポツリと海堂くんが呟いた気がした。


その海堂くんの言葉の意味がわからず振り返ると、海堂、そう不二くんの冷たい声が聞こえてビクッと身体が跳ねる。
驚いて不二くんの顔に視線を向けると、彼はとても冷たい目で海堂くんを見つめていた。


不二くん、怒ってる……どうして……?
はぁ……、そうため息をついた海堂くんが、別に言ったりしませんよ、そう言ってチッと舌打ちをする。


「あ、あの……?」

「小宮山さんは何も気にしなくていいよ?」


そう言って私に視線を戻した不二くんは、もういつもの優しい笑顔で……
なんだったんだろう……?、そう気になったけれど、とても聞ける雰囲気じゃなくて……


結局、よく分からないまま、もう一度皆さんに会釈をして、それから不二くんの隣を黙って歩き続けた。

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