• テキストサイズ

【テニプリ】闇菊【R18】

第72章 【ゴメン】




「不二くん……英二くんから、聞いてたんですか……?」

「うん……昨日ね……小宮山さんのことを頼むって……」

「それでわざわざ来てくれたんですか……?」


英二くんも不二くんも、そんなに気を遣ってくれなくてもいいのに……
これは、私が乗り越えるしかない問題なのだから……


「……小宮山さんは……その、どこまで……?」


言いにくそうに口を開く不二くんに、ゆっくりと首を横に振る。
具体的には何も……、そう言って相変わらず爽やかな秋空を仰ぐ。


具体的な話は英二くんの口からは何も聞いてない……
でも、聞かなくたってわかる……
ずっと不安だったことが、ただ、現実になっただけ……


そりゃ、鳴海さんが本気を出したら、私なんて太刀打ちできないよね……
英二くん、最初から好みのタイプだって言っていたし……
それに比べて、私は苦手なタイプで……


悔しいなぁ……
どうせなら、雨、上がらなければよかったのに……









学校が近づいてくると、当然だけど、周りは青学の制服だらけになる。
2人で登校なんて珍しいねー?、なんて声を掛けてくれる生徒たちに笑顔で会釈をする。


何も変わらない朝……でも大きく違う朝……


坂を登り緩やかなカーブを曲がると、目に飛び込んで来た光景にビクッと身体を固まらせる。
英二くんと鳴海さん……やっぱり、一緒に登校したんだ……


それは2人、手を繋いで仲良く登校する後ろ姿……
時々、鳴海さんが可愛らしい笑顔で英二くんを見上げている。
私も英二くんと普通の恋人同士だったら、あんな風に堂々と登校したり出来たのかな……


「……小宮山さん……」


思わず足を止めて顔をこわばらせると、私の視線の先を確認した不二くんまで辛そうな顔をしたから、大丈夫ですよ、そう慌てて無理に笑顔を作る。


「……でもやっぱり、慣れるまではキツイですね」


冷たい秋風で乱れた髪を耳にかけながらポツリと呟いた私の頬を、また涙が零れ落ちる。
今度は不二くんがその涙を優しく拭ってくれた……

/ 1433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp