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【テニプリ】闇菊【R18】

第71章 【ドヨウビ、ヒルサガリ】




「遅い……」


時計はまだ午後の1時を回ったところ……
朝から張り切って掃除を済ませて、そのほかの家事も終わらせて、簡単なお昼ごはんを食べてからはいつものように窓辺で本を読んでいたんだけど、これからやっと英二くんに会える、そう思ったらドキドキソワソワで……


「この時計、壊れてないよね……?」


さっき見てから数分しか進んでない壁の時計……
あれ?、ここ、さっき読んだ……?
何度も繰り返してしまう手元の本に、はぁ……っとため息をついてパタンと閉じる。
こんなんじゃ、全然、頭になんて入らない……


英二くんが来るまであと3時間……
それだけあればいくらでも本が読めるし、勉強だってできるのに、もう全然それどころではなくて……


英二くんとは毎日教室で顔を合わせているし、電話だって毎晩しているのに、直接2人きりで会えるのは、あのバイト帰りにちょっとだけ寄ってくれた時以来で……


あの時は鳴海さんのことが気になって心から喜べなかったから、今日は何もかも忘れておもいっきり英二くんに甘えたいな……


何気なく窓の外を眺める。
土曜日の昼下がり、真っ青な高い秋空……


……あ、いいこと、思いついちゃったかも……?


ハッとして立ち上がると、窓を開けて身を乗り出し、直接その爽やかな秋の空気に触れる。
英二くんのこと、バイト先まで迎えに行っちゃえば、その分早く会えるじゃない?


今度、バイト先においでって、いつでもいいよんって言ってくれたし……
普段は夜だから行けないけれど、今日なら昼間だから何の問題もないし……








ちょっと考えたら、そんなことしちゃダメだって分かるのに……
この時はすっかり舞い上がっちゃって、肝心なことを忘れていて……


私は、英二くんに近づきすぎちゃ、ダメなんだって……
それはセフレから彼女になれたって、何も変わらないんだって……


せめてこの時、気がついていれば、あんな思いしなくて済んだのに……


そんな事には全く気が付きもしないで、ドキドキする胸をおさえながらクローゼットを覗き込んだ。


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