第67章 【ユウアイ】
今日は美沙がいるから早めに通話を終わらせようと思ったら、私の肩をチョイチョイっと指でつついた美沙に、最後にもう一度変わって?って言われた。
どうしたんだろう?と思ったらまた英二くんをからかってて、内容が内容だけにすごく恥ずかしくて頬を膨らませたんだけど、そんなやりとりもまた可笑しくて、やっぱり美沙には怒れなくて……
しばらく笑い続けていた美沙の声がフッと落ち着いたものになって、それから英二くんにありがとうって私のことでお礼を言ってくれて、きっと電話の向こうの英二くんも美沙にお礼を言ったんだと思う。
大好きな2人にこんな風に思われて、私なんかがこんなに幸せで良いのかな?って、改めて思ったら泣きそうになった。
「ねえ、璃音……英二にも言ったけど、本当になんかあったら協力するからね?」
通話を終えた携帯を渡しながら、美沙がそう私に笑いかける。
うん、ありがとう、嬉しい……、そっと滲んだ涙を拭いながら私も笑顔を返す。
そう言えば、私の話ばかりで、美沙は好きな人とかどうなんだろう……?
前に一緒に食事をしたら連絡取れなくなったって笑い話にしていたけれど……
いいよね?聞いても……友達だもん……
ちょっと戸惑ってから美沙に問いかける。
「美沙はいないんですか……?その、好きな人とか、彼氏とか……」
「んー……特にいないなぁ……、今は、璃音や他の友達と一緒の方が楽しいし」
「じゃあ、どんな人が好き?」
「私よりいっぱい食べる人!」
即答ですね……、そう言って苦笑いすると、だって食べてるそばから引かれると腹立つし、なんてプリプリと何かを思い出して怒り出す。
よっぽど嫌なことがあったんだろうな……
そんなところも美沙の魅力なのに、見る目ない人ですね、そうポツリと呟くと、美沙は、ぱあーっと目を輝かせて、璃音あんた本当にいい子だよね〜、そう言って私をギューっと抱きしめた。