第67章 【ユウアイ】
「そろそろ寝る?明日も学校だし……私、ネコ丸と寝たい、おいでー!」
「ネコ丸、寝相悪いですよ……?」
「名前のモデルは授業中あんなに大人しく寝てるのにねー?」
「……それは関係ないような気がしますけど」
楽しい時間はあっという間に過ぎて、もうすぐ日付が変わろうというころ、部屋の明かりを小さくすると、私はベッドに美沙は布団へとそれぞれ潜り込む。
それから、おやすみなさいを言い合った途端、♪〜、そうもう一度私の携帯が着信を知らせた。
また英二じゃない?、なんて面白そうに冷やかしてくる美沙に、どうでしょう?、なんて返事をしながら机の上の携帯に手を伸ばす。
普通は「おやすみなさい」をしたらもう掛かってくることなんてないんだけど……
でも確かにこんな時間に通話なんて英二くんしか考えられないし……
非通知……?、ああ、そういえば、これ、LINEじゃなくて普通の通話だ……
英二くんはいつもLINEだし、誰だろ……?、そう思いながら、はいっと電話に出るも、相手からはなんの反応もなくて……
もしもし……?、もう一度問いかけてもそれは変わらずで……
これって、もしかして無言電話……?
気がついた途端、ザワザワと胸がざわめき出す。
「璃音……?」
私の様子に少し怪訝な顔をした美沙が小さく問いかける。
ハッとして、慌てて通話を終わらせると、間違い電話でした、そう言って笑顔を向けた。
そうだよね……、間違い、だよね。
無言電話なんて中学の頃にナオちゃんたちから来て以来だから、胸が過敏に反応してるだけ……
そう自分に言い聞かせ、胸のざわめきを笑顔の奥に隠すと、さ、今度こそ寝ましょうか、そう言ってもう一度ベッドに潜り込んだ。
「璃音、なんかあったらすぐに言うんだよ?」
……美沙、私、わかりやすいよね?
でも大丈夫……こんな一度きりのはっきりしないのなんか……
「……はい、そのときは、必ず」
美沙の優しさに不安がすーっと薄らいでいく。
ありがとうございます、電気を消した暗闇の中そっと呟いた。