第67章 【ユウアイ】
あ……小宮山からも来てんじゃん……
すっかり埋もれてしまった小宮山からのLINE通知。
慌てて開くとそれは案の定、オレを心配してくれたもので……
まだ学校にいた時間帯のそれに、他の通知と一緒にしてすぐに確認しなかったことを後悔する。
急いでタップした無料通話。
数回の呼び出し音の後、電話にでた小宮山に、もしもし、オレー、なんていつものように話し出す。
『はいー?、どちらの『オレ』さんですかー?』
それは予想外の小宮山以外の声……
ギョッとして、間違えました、スミマセン!、なんて慌てて通話終了をタップする。
……な、なんで……あれ……?
何度も確認するディスプレイには確かに小宮山の名前……
でもあの声は絶対小宮山じゃなくて……
イッタイドユコトー?、そう意味がわからず頭がこんがらがってくる。
壊れた……?こんな故障ってあり……?
ペチペチと携帯を叩いてみたり、ひっくり返してみたり……
機械オンチの本領発揮でオロオロしてしまう。
それしにても、あの声、どっかで聞いたことあんだよなぁ……?
うーんと考えて頭に浮かんだ声の持ち主……
まさか……ねえ?、嫌な予感満載の中、もう一度通話マークをタップする。
「……市川?」
掛け直して恐る恐る話しかける。
あははー、やっと気づいたか、予想通り、通話に出た市川がそう悪びれず笑うから、やっぱお前かー!、なんて声をあげた。
つうか、なんで小宮山の電話に市川が出るんだよー?
しかもこんな時間にさぁ!
『あ、あの、美沙……、はやく変わってください……その……』
英二くんにちゃんと説明しますから……、電話の向こうから聞こえた小宮山の焦る声。
何が何やら、分かんないことだらけだけれど、とりあえず、小宮山がオレとのことを市川に話したことは確かなようで……
いったいなにがあったのさ……?、そう電話の向こうの2人の声に苦笑いをした。