第12章 【ミカヅキノヨル】
何も聞かず、多くを語らないお母さんがありがたかった。
私のことを愛し、信じてくれるお母さんが嬉しかった。
一人娘が悩み苦しんでいるその時、本当なら何があったか問い詰めたいだろう。
もしかしたら手掛かりを求めて詮索したいだろう。
それでも決してそうはしないで、黙って私を見守ってくれるお母さんの偉大な愛に、私は心の底から救われた気がした。
いっぱい悩んでいっぱい泣いて、決して後悔しない恋愛を……お母さんの言葉が胸に沁み込んでくる。
多分私はお母さんが想像しているよりずっと、辛く苦しく、終わりのないトンネルの中をさまようような恋愛をしているだろう。
それでも疲れきった心と身体を癒してくれる存在がここにある。
だから大丈夫。
いつか英二くんとの関係が終わりを迎えたその時、例え身も心もボロボロになっていたとしても、私は前に進んでいける。
もう一度、夜空の三日月を眺める。
私ではない他の誰かを抱いて喜ぶ英二くんを想像し、涙がとめどなくあふれてくる。
「……英二くん……英二くんっ!!」
大好き……身体だけ……愛されたい……叶わない……
決して報われない想いに胸が張り裂けそうになりながら、しばらくの間、夜空を仰ぎ涙を流し続けた。
泣いて、泣いて、泣いて……そして涙も枯れ果てたその時、自分の心に一つの答えを導き出した。
間違っているのは分かってる、苦しいだけなのも分かってる。
それでも、私は英二くんの側にいたい。
動画なんて関係ない。
例え彼に愛されなくても、彼が求めているものは私の身体だけだとしても、それでも、もういらないと言われるその日までは……
それが私の決めた
後悔しない恋愛なのだから___