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【テニプリ】闇菊【R18】

第12章 【ミカヅキノヨル】




コンコン


ドアをノックする音に慌てて涙を拭い、はい、と返事をする。
璃音?とお母さんがドアを開けると同時に、みゃあとネコ丸が勢いよく飛び込んでくる。


「ネコ丸、ドアをカリカリして入りたがってたわよ」

「あ……ごめんなさい、気がつかなくて……」


そう言って私の膝に飛び乗ったネコ丸を撫でると、ゴロゴロと甘えた音を鳴らす。


「どうしたの?……灯りもつけないで……」

「……月を、見ていたの……」


そう言ってもう一度空を仰ぐと、そう、と呟いたお母さんがそっと私の髪を撫でた。


「……何かあった?……って聞いても何も言ってくれないんでしょうね……」


そう言ってお母さんは少し寂しげな笑顔で私を見下ろすから、ごめんなさい……そう目を伏せて答える。


「あなたはなんでも自分で抱え込んでしまうものね……」


そう言うお母さんの視線が、私の首元のしるしに向けられた気がして、気まずさから無言で俯くと、そんな私の頭をお母さんはポンポンと撫でて、それからゆっくりとドアへとむかう。


今夜は早く寝なさいね、そう言ってドアを開けたお母さんは、出て行く間際にもう一度口を開く。


「璃音、若いうちはいっぱい悩んで、いっぱい泣きなさい」

「え……?」

「だけど、決して後悔しない恋愛をするのよ」


お母さん……そう呟くと堪えきれずに目から大粒の涙が溢れ出す。
そんな私に、忘れないでね、お母さんもお父さんも何があってもあなたの味方だから、そう微笑んでお母さんはそっとドアを閉めた。

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