第66章 【トウソウゲキ】
英二くんが必死に守ってくれたおかげで、相手が私だとはバレていないようだけど、面白おかしく話している内容は、当然、私のことで……
すごく恥ずかしくて、ポロポロと涙が溢れてくる。
思わずギュッと不二くんのシャツの裾を握りしめると、不二くんは私の肩に手を回し、周りから見えないように隠してくれた。
「君たちが面白がるのは当然だけど、今回は相手の子がいるんだ、無責任な噂で人を傷つけるのは感心しないな」
凍るような不二くんの声と視線。
以前私が、嫌がらせされた時にみんなの前で注意してくれた時と同じ……
シンッと辺りが一瞬で静まり返る。
「小宮山さんも気にしないで、堂々としてないとダメだよ」
バレたら英二の頑張りが無駄になる、さらに引き寄せられて、こっそり耳元で囁かれたその言葉にハッとする。
そうだ、せっかく英二くんが守ってくれたんだもん、縮こまってる場合じゃない……
涙を拭いて深呼吸を数回繰り返す。
「ありがとうございます、もう大丈夫です」
顔を上げて不二くんを見上げると、すぐ目の前に彼のキレイな笑顔があった。