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【テニプリ】闇菊【R18】

第66章 【トウソウゲキ】




「ま、まぁ……確かに味の改善の余地はあるが、英二は乾汁に免疫がある……死ぬことはないだろう」

「そういう問題ではありません!」


私の勢いに押されたのか、乾くんはメガネのブリッジを上げながら、いや、しかし……、そう言って一歩後ずさりをする。


もう一度、その乾汁とやらをジッと見つめる。
それは相変わらず怪しく泡立ち、発光している液体……


やっぱりこんなの、英二くんに飲ませるわけにはいかない……!
私のためにあんなに頑張ってくれたのに、さらに命の危険に晒すなんて、絶対にダメ……!


「わかりました、約束ですから私が飲みます」


意を決してそのジョッキに手をかける。
約束は約束、乾くんは私たちを助けてくれた……
必死に走って頑張ってくれた英二くん……
今度は私がその頑張りに報いる番……!


スーッと息を吸って、そのジョッキを持ち上げると、そのまま勢いよく飲み口に口をつけた。






「小宮山さんが飲む必要はないよ」


覚悟を決めてジョッキに口をつけた瞬間、横から突然伸びてきた手により奪われた。
目を見開いて振り返ると、それはいつの間にか理科室に入ってきた不二くんで、彼はニッコリと私に笑いかけると、なんの躊躇もせずゴクゴクとその怪しげな液体を飲み干していく。


「うん、今回は飲みやすいね、結構いけるよ、でも小宮山さんにはオススメしないかな」


カタン、そう実験台の上に空になったジョッキを置きながら、そう不二くんは爽やかに笑う。
結構いけるって、そんなはずないじゃない……!
って、違う、肝心なのはそこじゃなくて……


「あの、どうして不二くんが……?」

「クスッ、学校中大騒ぎだよ、英二が女の子をお姫様抱っこして逃げ回っているって……」


その女の子がいつの間にか骨格標本になったっていうからね、すぐに乾の入れ知恵だって分かったよ、そう言ってクスクス笑う不二くんに、さすが不二くん、やっぱりお見通しなんだなって感心してしまった。

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