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【テニプリ】闇菊【R18】

第64章 【ネガイゴト】




「んー……なんにしようかなぁ……」


夕方になるとキッチンに移動してエプロンと三角巾を手に冷蔵庫を覗き込む。
あ、海老あんじゃん!、ここはプリプリ海老フライ!……と言いたいところだけど、じーちゃんとばーちゃんはフライより天ぷらかにゃー……?


ふふーん♪、なんて鼻歌を歌いながら野菜を切り、海老の殻をむいて背わたを取りササッと下処理をする。
天ぷら鍋に油を注いで温めながら天ぷら粉を水で溶いていると、テーブルの上で携帯が鳴った。
ん?通話?、って思いながら覗き込むとそれは不二からで、なんだろ?ってさほど気にせずディスプレイをタップする。


「ほいほーい、不二ぃ、なんじゃらほーい?」

『もしもし、英二?、うん、僕だけど……』


予想外に不二の声が落ち着いてたから、ん?って身体の動きが止まる。
英二に許可を取れば問題ないよね?、そう電話越しに聞こえたオレ以外に向けられた不二の問いかけ。
……小宮山?、すぐに察して声にする。


『うん、そう、小宮山さんのことなんだけど、これから僕が家まで送り届けても構わないよね?』


それは真剣な不二の声。
これから送り届けるって……あぁ、生徒会の仕事、今終わったのか、そう時計を確認する。
もうこんな時間だし、そりゃ、不二が小宮山を一人で帰すわけないよな……
そんで小宮山、オレのために頑なに断って、しびれを切らした不二がオレに電話をよこしたってところか……
小宮山、大丈夫だってきかないの?そうゆっくりと問いかけた。


『そう、英二が嫌がるからって、小宮山さん、どうしてもうんと言わないんだ』


やっぱりね、小宮山、言い出したらきかないからな……
確かに不二と小宮山が2人で帰ってくんのはいい気がしないけどさ……


「オレが迎えに……ってダメだ、今、天ぷら揚げてっから」

『そうじゃなくてもダメだろ、それまで小宮山さんを待たせる気?』


その冷静な不二の意見に、うぐって言葉に詰まらせる。
そうだよな、小宮山、帰んの夜になっちゃうもんな……

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