第64章 【ネガイゴト】
「ねぇ、ついでにその馬鹿丁寧な言葉遣いもやめない?クラスメイトなんだしさ」
真っ赤な顔で俯く私に、そう笑顔で美沙が提案してくれたから、顔を上げて、あっ……と声を詰まらせる。
英二くんにも前に言われたことがあるこの言葉遣い。
中学の頃、ナオちゃんや香月くんとは普通に話せていたんだけれど、もうすっかりこれが板についてしまった。
特に英二くんは私が香月くんと普通に話しているのを聞いているから、尚更面白くないようだったけど、こればっかりはもうどうしても直らなくて……
困り果てている私に英二くんは、んじゃ、オレが名前で呼べるのと競走だかんね?って笑ってくれた。
チラッと英二くんに視線を向けると、苦笑いしている彼と目があって……
「努力します……」
そう決意する私に、ま、こっちは気長に待つか、蕁麻疹でないし、そう美沙も英二くんのように笑ってくれた。