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【テニプリ】闇菊【R18】

第62章 【シンガッキノケツイ】




「おっはよーん、不二、こんなところでな〜に固まってんの?」


突然近くで聞こえた英二くんの声にハッとして顔を上げる。
不二くんにどう接したらいいか分からなくて、みんなの注目も浴びちゃって、尚更どうしたらよいか分からなくなっていたから、小宮山さんもおはよっ!そう元気な笑顔の英二くんに凄くホッとした。


ああ……制服姿の英二くん……凄く久しぶり……
相変わらずひとりだけ夏服じゃない英二くんの学ランは凄くかっこよくて、笑顔がキラキラが輝いて見えて……
それから、私が付けた歪んだボタンもそのままで、その下手くそさが恥ずかしいんだけど、でもやっぱり嬉しくて……








「そういえば今年は宿題泣きついてこなかったね、優秀な家庭教師のおかげかな?」

「あー、うん、大石よりずっと厳しい先生だったけどね」


そんな2人の会話を気恥ずかしく思いながら、2人の後ろをトコトコとついていく。
不二くん、優勝おめでとう!、そんな声があちこちから掛けられる。


「あーあ、いいよな~、天才は」

「ほーんと、簡単に全国制覇が出来るんだからよ」


はっきりと聞こえたそのセリフに耳を疑った。
いいよな、天才は……?、簡単に全国制覇……?
この人たち、いったい何を言ってるの……?


そんなはず無いじゃない……!
必死に頑張ってるに決まってるじゃない……!


元々の素質やセンスは確かにあるかもしれない……
でも、生徒会長もしながら成績も上位を保って、更に部長として男子テニス部をまとめて結果を残し続けるなんて、並大抵の努力で出来ることじゃない……


それを「天才」の一言で簡単に済ませるなんて……


「天才って酷い……、不二くん、あんなに努力してるのに……」


努力で勝ち取った栄光じゃないですか……、そう思わず口にしてしまうと、凄く驚いた顔をして英二くんと不二くんが振り返った。


やだ、私、また変なこと言っちゃった……?
慌てて2人に謝ると、そんな私に不二くんは優しい笑顔を向けてくれた。

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