第11章 【サゲスミ】
「つーか、空いてんの?」
「もっちろん!一番奥の部屋、予約済みー♪」
通路の奥には小部屋が並んでいる。
その部屋にあるのは、カラオケセットの代わりに大きなダブルベッド。
まあ、つまりはラブホ替わりってこと。
本物よりだいぶ安く利用できる。
ここを利用できる客は本当に限られたやつだけで、基本紹介制みたいなもの。
逆ナンされて連れてこられて、それから出入りするようになって……気が向いたらフラッと訪れ、適当な女を抱いて適当に帰る。
まあ、一番苦労せずに女にありつける場所ってところかな。
遊んでんのはここだけじゃないけれど、ここが一番気が楽。
最低限の名前や連絡先を交換したりするけれど、どこで何をやっているやつだとか、詳しいことは誰も詮索しない。
過去も未来も現在も、ここでは何も関係ない。
ただこの瞬間、たまった欲望を吐き出すために身体を重ねるだけの場所。
ついでに言うと、未成年がどうだとか、そんな五月蝿い法律なんてのも関係なしの無法地帯。
オレの場合、ヤバい薬や合法ドラッグには手を出したりしないけど、中にはやってるやつもいるんじゃないのー?
そんなことを考えながら一番奥の扉を開ける。
部屋に入って鍵をかけた途端、女が服を脱いでオレに唇を重ね舌を絡ませてくる。
ベッドになだれ込み、オレに馬乗りになってオレのシャツのボタンを外す。
「約束通りたーくさん頑張ってあげるからね?」
そう言ってベルトをはずし、オレ自身を取り出すと夢中で口に頬張りはじめる。
その慣れた行為に身体はすぐに反応するも、心は逆に冷めていくのを感じる。
どんだけサカッてんだよ、この女、ってオレが人のこと言えないか。
そう思ったらなんか可笑しくて笑った。