第11章 【サゲスミ】
「英二、何飲む?ビール?カクテル?」
「んー、アルコールはいいや。今日は終電で帰るから」
「えー、帰るのー?」
「そ、オレってば真面目なコーコーセーだから」
そう言うとみんながゲラゲラ笑い、ひでー、ほんとなのにぃ、そう言ってポケットからタバコを出して咥えると、すかさず女共がライターの火を差し出す。
くだんねー、どっかのキャバクラかよ?
ま、行ったことないけどさ、そう思いながら適当に火をつけて、それからフーッと煙を吐き出した。
「ねぇねぇ、最近何してたのー?」
そう言う女どもに、普通にヤってたよ、そう答えると、男どもがどんな女?なんて聞いてくる。
「んー……一言で言うと、学年首席?」
「マジでー!それってどーよ?」
「すんげーいいよん~♪新鮮で?相性良いし」
そう言ってニイッと笑い、ブイサインをする。
「つーか、そんな頭良い女なんて話し合うのかよ?」
「あー……あんま話してないや」
なんだよ、ヤるだけかよ!って突っ込む仲間達に、まーねー、なんて笑って答えると、ひでーと大きな笑いが起きた。
「英二ぃ、はやく行こーよぉ?」
そんなオレに1人の女が纏わりつく。
あー、そういやこいつだっけ……?そう思いながら、んじゃ、行く?なんてタバコの火を押し消して立ち上がる。
「えー、英二、私ともシてよ~!」
「だーめ、今夜は私となんだから!」
そう言う女に、オレの腕に絡みつく女がベーッと舌を出す。
「はは、オレは別に一緒でもいいけどね、でも先約が嫌だっていうからまた今度ねー?」
そう言ってその女の腰に腕を回してキスすると、じゃーねーと手を振りホールの更に奥の通路へと進んでいった。