第61章 【セイチョウ】
「ゴメンな……?あんま時間なくて、ゆっくり寝させてやれなくて……」
時間限定の休憩タイムじゃ、何度もイッてクタクタになった身体が回復するほど、小宮山を休ませてあげる時間はなくて……
結局、ほんの少しウトウトしただけで起こすと、小宮山はぼーっとしながら、はふっと可愛い欠伸をした。
「すみません。いつもすぐ眠くなっちゃって……英二くん、暇ですよね、寝ないように頑張るんですけど……」
平気だよん、別に暇じゃないし、そう言って冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを差し出すと、ゲームでもしてるんですか?、そう小宮山はコクリと口に含みながら問いかける。
「んーん、ずっと小宮山の寝顔見て甘い匂い嗅いでるー」
途端、小宮山はプハッと口に含んだ水を吐き出し慌てて口を覆うと、何てことしてるんですか!?、そう顔を真っ赤にして抗議する。
それから、もう英二くんの前では二度と寝ません、絶対寝ませんからっ!、そう頬を膨らませてそっぽをむいた。
「別にいいじゃん、小宮山、寝顔も可愛いよん♪」
可愛くなんかありません、そうまだ機嫌が治らない小宮山をギュッと抱きしめる。
確かに小宮山は可愛いとキレイだったら断然キレイ系だけど、でも仕草やふと見せる表情がすごく可愛くて……
ほんと可愛いって、そう言って抱きしめる手に力を込めると、そんなんじゃ誤魔化されません、そう言って小宮山はますます頬を膨らませた。
「ほんと、ゴメンな……、オレ、小宮山の気持ち無視して……」
数秒の沈黙、改めて謝るオレに、小宮山はハッとした顔をして、私の方こそ、ごめんなさい……、そう振り返る。
それから、とんっとオレの肩に額を預けて、英二くんが嫌なら、もう不二くんとは口利きませんし、目だって合わせませんから……、そう少し寂しそうに呟いた。