第61章 【セイチョウ】
「もう英二くんを不安にさせること、しませんから……」
頬を包み込んでくれた暖かい手、唇に触れた温もり、そっと絆創膏を撫でてくれた優しい指先……
相変わらずオレの心に寄り添ってくれる小宮山に、何とかぎこちない笑顔を取り戻す。
しっかりと引き寄せて腕の中に閉じ込めると、嬉しそうに頬摺りするその柔らかい頬にキスをした。
大好きで、大切にしたくて、傷つけたくなくて……
そう思ってる気持ちは間違いないのに、結局、小宮山の気持ちを無視して自分を押し付けてしまった……
嫌なのに、本当はこんなことしたくないのに……
いっぱいいっぱいになると、言うことをきいてくれない心と身体にため息をつく。
そんなオレの様子に、英二くん……?、そう小宮山はまた心配そうな顔をして見上げてくるから、慌てて笑顔を作ってそっと髪をなでた。
プラネタリウムで小宮山を抱きしめると、不二と小宮山の事ばかり頭に浮かんできて……
イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ……!
胸が苦しくて、頭ん中が真っ暗になって、必死に抱きしめる腕に力を込めた。
小宮山はそんなオレを優しく抱きしめ返してくれたけど、それでも不安は消えなくて……
こんなんじゃ全然足んないって、もっと小宮山の近くに行きたいって……
それから、小宮山はオレのだって、不二にだって、他の誰にだってやるもんかって……
そんなふうに思ったら、もう勝手に身体が動いていた。
強引にラブホに連れ込むと、小宮山が嫌がるの分かっててエレベーターの中から行為に突入した。
部屋に入った途端、小宮山のナカをオレ自身でいっぱいにした。
そんな、自分勝手な愛情を小宮山は文句言わず受け入れてくれた。
腕の中で穏やかな寝息を立て始めた小宮山の髪を撫でながら、もう一度、ごめんな……、そう謝り引き寄せる。
ふわりと香るフローラルの甘い香りをずっと嗅ぎ続けていた。