• テキストサイズ

【テニプリ】闇菊【R18】

第61章 【セイチョウ】




「小宮山、ゴメン、オレ、また……」


私の何度目かの熱の解放とともに欲望を吐き出した英二くんは、私の上に覆い被さるとそう涙声で囁いた。
ああ、英二くんが戻ってきた……
もちろん、両方、英二くんには違いないんだけど……
そっとその外ハネの髪を撫でながら、ゆっくりと首を横に振る。


「英二くんは、何も悪くありませんよ……?」


私の考えが至らなかったから……
英二くんを不安にさせてしまったから……


きっと、ヤキモチなんて簡単な言葉で済ませられるものなんかじゃない。
次々と変わっていったお父さんと、決して自分には向けられなかった本当のお母さんの愛情……
辛く悲しい過去が必要以上に英二くんを不安にして、そして縛り付けて苦しめるんだ……


私が悪かったんです、ごめんなさい……、そうもう一度謝ると、英二くんが私の肩にうなだれて、そして自身の肩を振るわせた。


「小宮山……お願いだからさ……オレのこと、裏切んないで……?」

「大丈夫ですよ……、絶対、裏切りませんから……」


消えそうな声、こぼれ落ちる涙、震え続ける身体……
精一杯伸ばした手でその身体を包み込む。


私が英二くんを裏切るはずなんかない……
だってこんなに、この人が愛しくて仕方がない……
まるで私の細胞の一つ一つが、ううん、分子レベルであなたのそれを求めている……


不二くんは大切な友達だけど男の子だから……
もう2人きりで出掛けたりなんかしない。
必要以上にLINEも電話もしたりしない。
もう、あの髪留めも二度と使ったりしない。


「もう英二くんを不安にさせること、しませんから……」


だから顔を上げてください……?


背中に回した手を移動してあなたの両頬を包み込む。
クイッと顎をあげて唇に触れるだけのキスを届ける。


痛いの、痛いの、飛んできて……?
全部、全部、私が受け止めてみせるから……


そっと、親指で頬の絆創膏を数回撫でると、英二くんはやっと笑顔を見せてくれた。

/ 1433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp