第60章 【クラヤミノナカデ】
……バレた~?、そう苦笑いで振り返った英二は、チラッとかけていたメガネを下げてこっちを覗き見るから、それ、変装のつもり?バレバレだよ、そう言って笑いかける。
そんな僕とは対照的に、英二くん!?、そう小宮山さんは凄く驚いた顔をして、それから英二のもとへと駆け寄った。
「あ、あの、どうして英二くんがここにいるんですか!?」
「だって、小宮山が浮気するって言うのが悪いんじゃん!」
「浮気って……そんなこと一言も言ってないじゃないですか……」
ただ、今日は不二くんと約束してるから会えないって断っただけで……、そんな2人のやりとりをクスクス笑いながら眺める。
「彼氏のオレより不二を優先するって、どういうことー?」
「だからそう言う問題じゃなくて、約束を優先させたんです」
だいたい、それ、よく見たら私のメガネじゃないですか……!そう言って小宮山さんは英二からメガネを奪い取る。
これ、一応、ちょっとだけ度が入っているんですから……、そう小宮山さんがブツブツ言いながらそのメガネをバッグの中にしまうのを確認すると、痴話喧嘩は終わった?、そう2人に話しかける。
「あ、すみません、お待たせしてしまって……」
そう申しわけなさそうにする小宮山さんに、大丈夫だよ、そう笑顔を向けると、それから英二の方に視線を向けて、ごめんね?英二、そう軽く謝る。
そんな僕に英二は、別にいいけど……、やっぱ、よくないっ!、そう不満そうな顔をした。
クスッ、確かに僕が悪かったけど、そんな風に言われたら、少し意地悪をしたくなるよ……?
「本当ごめんね、でも、小宮山さんが浮気をする確率より、英二が浮気する確率の方が断然高いと思うけど?」
早速LINEが来たみたいだよ?さっきの子から、そう言ってクスッと笑うと、ギクッと携帯を入れているポケットをおさえた英二は、な、何のことだよ、なんて青い顔をするから、言ってもいいの?、そう笑顔を保ったまま、チラッと小宮山さんに視線を向けた。