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【テニプリ】闇菊【R18】

第59章 【ドクセンヨク】




数秒の沈黙の後、ゆっくりと視線を逸らして小宮山の方に振り返る。
そのパンフレット、オレにも見せてよ?、そう笑顔を作って小宮山と並んで座る。
全く興味もないギリシャ神話の話をしながら笑い合う。


さりげなく塗られたグロスと甘いシャンプーの香り……
何度振り払っても頭から消えない不二と小宮山のキスシーン……


辺りが暗くなる瞬間、身を乗り出して小宮山の頬に触れると、驚いた小宮山の唇に自分のそれを急いで重ねる。
突然のキスに思わず小宮山が甘いコエを漏らすと、背中にピクッと不二が反応した気配を感じた。


もっと大きなコエを出せばいい……
不二にオレが出させたコエをちゃんと聞かせてやればいい……


歯列をこじ開けて舌をねじ込むと、小宮山が慌ててオレの胸を力いっぱい押し返すから、名残惜しい気持ちを押し殺し、わざとリップ音をたてて唇を解放した。









「ん~、つっかれたー……!」


プログラムが終わり、席を立つと背伸びをしながらそう声を上げる。
英二くんは寝ていただけじゃないですか、そう小宮山が呆れて笑う。


小宮山と不二を引き離し真ん中に座って眺めた人工的な星空。
プラネタリウムにかぎらず、映画でもそうだけど、全く興味もないこんな状況では直ぐに睡魔が襲ってくる。
案の定、開始五分と待たずウトウトし始めたオレは、結局、終わるまでずっとそのまま夢の世界にいた。


「英二くん、起きてください?終わりましたよ」


優しく肩を揺らして起こしてくれる小宮山の声。
ねーちゃんとは大違いだよな、なんて苦笑いしながらロビーへとむかう。


ロビーに出た途端、それまで楽しげに小宮山と話をしていた不二がふと立ち止まり、それからゆっくりと小宮山の唇に手を伸ばす。
不思議そうに固まる小宮山と、少し陰を帯びる不二の笑顔……
その光景をジッと2人の後ろから見守った。

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