第59章 【ドクセンヨク】
これも自業自得かな……?
もともとの小宮山の、消極的な性格だって関係あるだろうけどさ……
セフレから彼氏と彼女になっても連絡はいつもオレからで、それは前となんも変わんなくて……
会ったらすぐに抱きしめたくなっちゃって、抱きしめたらそのままヤりたくなっちゃって……
これじゃ、セフレんときと何もかわんねーじゃん……
もっと恋人らしいことすれば、小宮山、気を許してくれるかな……?
窓に目を向けると澄み渡る青空が目に入る。
いい天気だな……なんて快晴の空に目を細める。
小宮山と、どっか出掛けたいな……
そういや、オレら、まともにデートしたことってないし……
それっぽいことといったら、小宮山んちにいる間、ネコ丸のカリカリ買いに行って、小五郎とチビ丸買ってコンテナ行ったりしたくらいで……
そう思ったらすぐにデートしたくなって、いても立ってもいられなくなって、速攻で小宮山に電話をかける。
数回の呼び出し音、小宮山が電話にでるまでの数秒はいつもドキドキする。
『も、もしもしっ、英二くん?』
いつも電話にでるときの、少し上擦った小宮山の声……
安心するその声にドキドキが一気に穏やかな鼓動に変わる。
「やっほー、小宮山、今、大丈夫ー?」
はは、オレだって、声、上擦ってんじゃん……?
『あ……、ごめんなさい……今日は不二くんと約束があって……』
小宮山、今日、会えるー?、そのオレの誘いを小宮山は申しわけなさそうに断った。
当然、大丈夫ですよ、そう嬉しそうな返事が来るとばかり思っていたオレは、言葉もでずにぽとりと携帯を落とす。
『あ、あの……英二くん……?』
携帯から漏れる申しわけなさそうな小宮山の声に、我に返って慌てて携帯を拾うと、あ、ごめん、予想外だったからさ……そうまだ信じられない思いで返事をした。