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【テニプリ】闇菊【R18】

第58章 【ヒトリ】




……それにしても……


ふと空から視線を移してくるりと部屋を見回す。
それは確かに私の部屋なんだけど、普段と何も変わらないいつもの部屋なんだけど……


この部屋、こんなに広かったっけ……?


お母さんに英二くんのことを話すことで頭がいっぱいで、ずっと気を張っていたから気がつかなかったけど、こうして改めて部屋を眺めてみると、英二くんも大五郎もいなくなった今、本当に私の部屋がガランと広くなったような気がして……


英二くん、やっぱり、すごく寂しいよ……


セフレの時は身体だけでいいと思っていた。
英二くんのそばにいられるのなら、たとえ好きになってもらえなくても、英二くんに求められて必要とされるなら、それだけで幸せだって思っていた。


でも今は、英二くんに好きだって言ってもらえて、彼女だって優しく抱きしめてもらえて、ヤキモチまで焼いてもらえるようになって……


今までにくらべたら天と地の差で、凄く幸せで夢みたいに嬉しいのに、それでもこんなに寂しくて、こんなに英二くんが恋しいなんて、私、どれだけ欲張りなんだろう……


ジッとベッドに視線を向ける。
ずっと英二くんに抱っこしてもらいながら寝ていたのに、今日からまた1人で寝ないといけないんだよね……
そう思うと胸のあたりがシュンと切なくなる。


「ネコ丸……!どこ!?」


部屋を飛び出すと家中を探してネコ丸を見つけ出す。
迷惑そうな顔をするネコ丸を、いいからお願い!、そう言って無理矢理抱えて部屋に連れてくる。


「お願い、ネコ丸、今夜はずっとここにいて……?」


英二くんと過ごしたこの部屋に1人きりでいるのが辛くて、ましてやその温もりがたっぷり残っているこのベッドに1人で眠るのが寂しくて……


せめてネコ丸に一緒にいてもらおう、そう考えてみたんだけれど、肝心のネコ丸ときたら凄く迷惑そうな顔をして、身体を捻って私の腕の中からピョンと抜け出した。

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