第58章 【ヒトリ】
ぜんぜん足んない……
さんざんキスして、抱きしめあって、いっぱい愛しあってきたのに……
充電完了してきたつもりが、もう小宮山が空っぽだ……
小宮山の顔、身体、声……一つ一つその感触を思い出すと、急加速で熱が上昇していく。
小宮山もこんな風にオレを恋しく思ってくれるかな……?
こうやってその柔らかい肌に、しなやかな指を滑らせたりするんかな……?
やべ……小宮山、こんなこと考えてるって知ったら、メチャクチャ怒んだろうな……
苦笑いしながらも、もう妄想は止めらんなくて、ましてや高ぶった熱は解放しないと気が済まなくて……
目を閉じると願望を爆発させていく。
____小宮山の指がその豊かな胸を包み込み、その頂きを刺激する。
ツンと硬さを帯びると口から吐息が溢れだす。
少しためらって一方の手を下着の中に滑り込ませる。
ゆっくりと上下する指先、高揚とする頬、虚ろな眼差し……
控え目に広げられた脚の間から厭らしい水音を響かせる。
『英二くん……お願い……キモチヨクシテ……?』
小宮山の可愛らしいお願い、恥ずかしそうにチラリと向けられる視線、もどかしそうに揺らす腰つき……
クンッ、また大きく大五郎のおなかで鼻を鳴らすと、小宮山の香りにクラクラして、それからその熱を解放すべく一点に意識を集中する。
ハァ……小宮山ッ……小宮山ッ……
大きなため息と同時に小宮山への想いを吐き出すと、寂しさを紛らわせるための行為は、なおさら小宮山への想いを募らせた。
小宮山、もう空港ついたかな……
処理を終えて立ち上がると、窓から空を眺めてまたため息をつく。
声、聴きたいけど、もうかーちゃんと一緒かもしれない。
一週間振りの母子水入らず、邪魔しちゃ悪いしな……
でも、もしかしたら、震えているかもしれない……
一週間前、あんなに空港で怯えいた小宮山……
やっぱり一緒に行くべきだったんじゃないか……
せめて文字だけでも送りたい。
LINEを開くと、くだんないメッセージを送信した。