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【テニプリ】闇菊【R18】

第58章 【ヒトリ】




「かーちゃん、ただいま……」


リビングを覗くと、ソファに座っていたかーちゃんが勢いよく振り向いたから、ドキンと胸が跳ね上がる。
お帰りなさい、楽しかった?、そう何でもない振りをして笑顔を見せたかーちゃんの目は少し赤くなっていて、疲れが伺えるその様子に、心配をかけてしまったことを改めて反省する。


「あのさ……かーちゃん、色々、ゴメン……」


そう頬を指でかきながら謝るオレに、いくら何でも、もう一週間の外泊なんてダメよ?、そうかーちゃんは怖い顔をして釘をさし、それから頼りない笑顔で笑った。


「ん、本当にゴメン、じゃあ、オレ、荷物置いてくるから……」


流石にもう一週間なんてずっと小宮山んとこ、泊まれる機会もないだろうしさ、なんて思いながらリビングを出ようとするオレに、それから、そうかーちゃんが低い声を上げる。


「嘘ついて外泊なんて、以ての外だからね……?」


へ?って顔をひきつらせて振り向いたオレの後頭部に、もうバレてるから!そうねーちゃんの鉄拳が飛んでくる。
いってー、暴力反対!そう頬を膨らませて頭をさすると、嘘つく方が悪い!そうねーちゃんがまたオレをにらみつけた。


「あんた、小宮山さんと一緒だったんじゃない!あの電話の後、心配で公園まで行ったんだからね!」


電話の後、公園までって……、そうその時のことを思い出す。
あん時は大五郎を小宮山が連れてきてくれて、でもオレは大五郎よりずっと小宮山にしがみついていて、そんで小宮山がオレを優しく抱きしめてくれていて……


何が楽しくて弟のラブシーン見せられなきゃなんないのよ、そうねーちゃんが大きなため息をつくから、あれを家族に見られていたかと思うと、恥ずかしくてカーッと顔が赤くなる。


「ひっでー!黙ってみてないで声掛けてよね!!」

「掛けれるわけないでしよ!!」


いや、確かに掛けられたほうが嫌だけどさ、そう頭を抱えてまたため息を付いた。

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