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【テニプリ】闇菊【R18】

第57章 【カレカノ】




「クスクス、どうしたの……?」


不二くんの笑い声にハッとして我に返る。
やだ、私ったら思わず自分の世界に入り込んじゃった……!
あ、あの、いいえ、そう恥ずかしくて慌てて不二くんから視線を逸らす。


「えっと、相手の方……幸村くんでしたっけ?やっぱり強かったですか?」

「ああ、うん、五感奪われちゃってね、一時はどうなるかと思ったよ」

「えっと……五感?」


テニスの試合ですよね……?なんて首を傾げる私に、うん、テニスだよ、そう不二くんはクスクス笑う。


「……小宮山さんのおかげだよ」

「え……?」

「もうダメかと諦めかけたとき、小宮山さんのことを思い出したんだ……」


負けられない、そう強く思ったよ、そう不二くんは真っ直ぐな視線で私を見つめてくる。
相変わらず不二くんの笑顔の奥から向けられる視線は突き刺すような鋭さで、だけどどこか寂しそうで、その視線はいつも私の身体を凍りつかせてしまう。


どうしていつも、身動きがとれなくなるのかな……?


視線を反らすことすら出来ず、あ、あの……?そう何とか声を振り絞ると、そんな私に不二くんはフフっといつもの穏やかな笑顔で笑いかける。
あ、来年は連覇狙うんですか?なんて慌てて視線を反らしながら問いかけると、うん、もちろんだよ、そう不二くんは力強く頷いた。


「来年は高校最後の年だからね、団体戦で全国制覇を狙うつもりだよ」


それに……、そうまた声のトーンを落とした不二くんは、個人戦はダブルスにしようと思ってるんだ、そう言ってゾクッとする笑みを浮かべる。


「ダブルスって……、えっと、乾くんとですか……?」

「それも面白そうだけど……違うよ」


意味深に笑う不二くんの視線の先には英二くんがいて、まさか……英二くんと……?そう目を見開いた。
でも英二くんはテニス出来ないよ……?そう不思議に思って不二くんの横顔を見つめると、来年はきっと大丈夫だよ、小宮山さんがいるからね、そう言って不二くんは私に優しい笑顔を向けた。

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