第56章 【フタリ】

「小宮山……何、考えてんの……？」


英二くんの怪訝な声に我に返る。
ハッとして顔を上げると、エッチの最中に考え事ー？そう少し不満げな顔で英二くんが私を見下ろしていた。
違うんです、そう慌てて首を横に振って、その首に腕を回す。


「ただ、もっと早く英二くんに出会えていたら良かったのにって……」


もっと早く、中学生の頃に英二くんに出会えていたら……
私が英二くんの初めての人になれていたら……


せめて英二くんが自分は本当のお母さんと同じだなんて、苦しむことは無かったかもしれない……


あ、でも、英二くんに相手にされない可能性の方が高いでしょうけど……、なんて苦笑いする私に、ほえ？って英二くんは目を丸くして、それから凄く優しい目で微笑むと、私の髪をとかすように撫でた。


「初めてだよん、誰かを好きになったのも、こんなに大切だと思ったのも、自分の生い立ちを話したいと思ったのも……」


小宮山だけなんだ……、そう優しく囁いてくれる英二くんの言葉が嬉しくて、また次々と涙が溢れる。
そんな私の涙を英二くんは優しく拭いてくれると、そのまま唇を重ね合わせた。


英二くんに触れられたところ、全てがどんどんアツくなる……
アツくなってフワフワして、それからトロトロになって、そのまま溶けてしまいそう……


「小宮山……オレのこと、好き……？」

「ふふ、またですか……？大好きですよ……？」

「オレも……小宮山のこと、大好きだよん……」


何度も囁き続ける「好き」の言葉。
今までの分まで、何度も……何度も……


「ハァ、小宮山……すげー、キモチイイ……」

「私も……キモチ、イ……も、ダメ……！」

「いいよん、オレも、もう、イクッ……！」


やっとひとつになれた……
身体は数え切れないほど交わっても、決して交わることがなかった心が……


「ああっ、英二くんっ、あああんっ！」

「小宮山……ハァ……クッ……！」


やっと、交わってひとつになれた……