第55章 【オンナジ】チュウガクキ②
「んじゃ、オレ、適当に遊んでから帰るからさ、みんなはオレに構わず楽しんでよ!」
そう言って止めるみんなと別れると、女の子たちと楽しく話しながらカラオケのブースまで来る。
カラオケだったよね、そう言って入ろうとするオレに、女の子たちは笑顔で手招きをした。
「あ、そっちじゃないの、こっちこっち!」
「へ……?こっちって……?」
指差す方向は施設の外。
不思議に思って首を傾げると、行きつけの場所があるの、そう言って女の子たちは含みある笑顔を見せた。
「へえー、英二くん、中学生なんだー!可愛い~♪」
「まーねー、お姉さんたちも可愛いよん?」
「やだー、上手ー、もしかして女慣れしてる?」
「してない、してない、オレのねーちゃん、高校生だからさ、全然ちがうなーって!」
ま、ねーちゃんだって出かけるときは可愛くして行くけどさ、元の性格がね、なんて苦笑いする。
電車に乗ってしばらく揺られると、馴染みない駅で降りるように言われて、着いていった先は確かにカラオケ屋だった。
よろしくー、そう笑顔で女の子たちがカウンターのお兄さんに声をかける。
「お、新しい子だね、いーよー」
普通の手続きとは違い、カウンターの奥に通されて、どう言うこと?、そう疑問に思いながら着いていくと、そこに広がっていたのはタバコの煙とアルコールの匂いが充満する空間。
なんだよここ……?そう目を見開いて、思わず後ずさりする。
「英二くん、どうしたの?はやくおいでよ?」
「えっとー、カラオケ、じゃなかったのかにゃー?ってさ」
いーの、いーの、そう戸惑うオレの腕を引いて、半ば強引にホールへと連れ込まれる。
とりあえず、座ろ?そう肩を押されてテーブル席に座らされる。
徐にタバコに火をつけた女の子の1人が、フーッとタバコの煙を吐き付ける。
こっちのほうが、カラオケよりずっと楽しいよ?そう言ってみんながクスクス笑った。