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【テニプリ】闇菊【R18】

第52章 【キクマルエイジ】ヨウジキ④




「……英二くん、病院に戻ろう?看護師さんも先生も心配してたよ?」


オレの話の後に訪れた沈黙を、おねーさんの言葉が打ち消して、うん、そう頷いて立ち上がった。
英二くん、靴、履かないで来たんだね、そうオレの裸足に気が付いたおねーさんの言葉に、んって頷くと、おじさんがひょいっと抱き上げてくれた。


「病院まで私が抱いていきますよ」

「あ、ありがとうございます、でもあの、このことは……」

「大丈夫です、うちはゴシップ紙ではありませんし、私も同じ年頃の子が4人もいる父親です、記事にはしません」


約束します、そう言ったおじさんにおねーさんが安心した顔をした。
軽々と持ち上げられたおじさんの腕はとても力強くて、今までのおかーしゃんが連れてきたパパとは違う雰囲気に、お父さんってこんな感じなのかな……なんてギュッとその身体に腕を回した。


「おじさん、アレ、やって……?」

「アレって……肩車かい?」

「ん、ずっと見てたの……」


ずっと羨ましく見ていた家族連れ。
お父さんに肩車された男の子が、高い高い!とはしゃいでいた。
よーし、そらっ、そうオレをさらに高く持ち上げて、おじさんは肩の上に座らせてくれた。


抱っこより一層高くなった景色。
遠くなった足元をながめ、それから少し近くなった青空を仰いだ。


どうだい?、高くなったろう?そう優しい声をかけてくれるおじさんに、ん、でも、ジャングルジムの方が高いよ……そう呟いた。


「はは、流石にジャングルジムには敵わないなー。じゃ、これはどうだい?」


しっかりつかまってるんだよ?、そう言っておじさんは、オレの足をギュッと握ると、それっ!っと走り出した。


わわっ!、そう後ろに倒れそうになり慌ててバランスを整えると、速いだろー?、そう言っておじさんは、くるくると大きく円を描いた。


おじさんの動きにあわせて揺れながら流れていく景色。
楽しい……こっそりはにかんで目を輝かせた。

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