第50章 【フアンナオモイ】ヨウジキ②
「さ、そろそろお昼よ、もう、帰りましょう!」
1人の母親がそう声を上げると、えー、やだー、そうその子どもが不満の声を上げる。
まだ遊び足りない様子で、帰るというその声を無視して滑り台を繰り返してる。
「ほら、お昼はパンケーキ焼いてあげるから」
「本当?やったあ!ぼく、ママのパンケーキ大好き!」
バイバーイ、そうみんな手を降って、笑顔で帰って行く。
「あのね、僕、パンケーキも大好きだけど、ママはもっと大好きだよ!」
「ふふ、ママも大好きよ」
さっきの親子が、隠れている茂みの横を通りすぎるときの会話が、耳に残って凄くどきどきした。
みんなが帰ると茂みからぬけだして、誰もいなくなった遊具にこっそり近づいた。
まだ少し揺れているブランコに初めて座ると、さっきまで乗っていた子達を真似て地面を蹴った。
楽しい……!
身体が風を切って飛び出していく。
直ぐに感覚はつかめた。
高く、もっと高く……気持ちいい……!
次は滑り台に登ってみる。
滑り台の下はトンネルになっている。
どうなってるんだろう……?、好奇心から目を輝かせた。
勢いよく滑り降りるとトンネルに潜り込む。
天井に開いた穴から空が見えた。
茂みの中で見た空と同じように青い空。
そこからよじ登って上にのぼった。
辺りを見回し目に留まったジャングルジム。
みんな途中までしか登ってなくて、なんで一番上まで登らないんだろう?なんて思ってみていた。
当然、一番高いところまで一気に登りつめた。
わぁ、空、近くなった……!
頂上に腰をおろし暫く一段と近くなった空をぼんやりと眺めていた。
くうー……
おなか、空いたな……
昨日の夜から何も食べていない、珍しく身体を使って遊んだし、そりゃお腹が空くのも当然だ。
そっと空腹のお腹を撫でてもう一度空を見上げた。