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【テニプリ】闇菊【R18】

第49章 【ハジマリノキオク】ヨウジキ①




それから母親が仕事に行くと、男も外出することが多くなった。
夜中に酒と煙草と、母とは違う香水の香りをプンプンさせて、英二、開けろ!ほら、はやくしよっ、そうドアをドンドン叩いて怒鳴りながら帰ってきた。
嫌だったけど、仕方がなく鍵を開ける日々が続いた。


ある日、いつものように出掛けていった男が、珍しく早めに帰ってきた。
不思議に思って鍵を開けると、ご機嫌なその男は知らない女の人の肩を抱いて入ってきた。


「ちょっと、なに、この子、あんたの子?」

「ばーか、んなわけあっか、あの女のガキだよ!」

「ああ、あの金蔓ってよく言ってる?」

「人聞き悪い事いうなって、こっちは家族ごっこに付き合ってやってんだ、その正当な対価ってやつだよ!」


何が起こったのかよくわからなかった。
だけどその男が女の服の中に手を入れ、その身体をなで回し始めたから、母との行為を思い出し、直ぐに理解して慌てて布団に潜り込んだ。


「ちょっと、子どもの前でヤバくない?教育上さ」

「いいんだよ、あの女とヤってる間だって、コイツいつも布団の中に隠れてんだからよ」

「ちょっと、悪い大人たち~!」


キャハハハハ、そう知らない女の耳障りな笑い声は、すぐに男と女の情事のコエに変わっていった。
多分、これは母への裏切り行為なんだろうな、そう子どもなりに理解した。


「何やってるのよ、あんたたち!!」


突然玄関のドアが勢いよく開いた音がして、それから母の怒鳴り声に慌てて布団から起き上がった。
その思いがけない母の登場に、裸で組み合っていた男と知らない女は青い顔をしてその行為を中断し、その様子を母が凄く怖い顔で睨んでいた。


「な、なんで、お前、こんな時間に帰って来てんだよ!!」

「嫌な予感がしたのよ!最近、あんたから香水の匂いがプンプンしていたからね!!仕事に行く振りをしたら案の定よ!まさか連れ込んでいるとは思わなかったわ!!」


大人たちの剣幕に怖くて身体が硬直し、布団の中でその様子をただ黙って眺めていた。

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