第49章 【ハジマリノキオク】ヨウジキ①
「英ちゃん、もう寝る時間よ、早く寝なさい」
味のしない夕飯を食べ終わると、言われたことなんかない「寝なさい」の言葉に首を傾げた。
だいたい、毎日明け方に帰ってくる母親を出迎え、午後まで一緒に眠る生活を送っていたから、身体はすっかり夜型になっていて、その日も昼過ぎまで寝ていたからとても眠れそうになかった。
だけど、寝なさい!、そう語尾を強調してまた繰り返した母には逆らえず、おやすみなさい、そう小さく挨拶して布団に潜り込んだ。
ビールを飲みながらテレビをみているあの男の背中を、いつまでいるのかな?、そう思いながら布団から眺めた。
「あん、やだ、まだ早いわよぉ……」
布団の中に入ってしばらくすると、そんな母の甘えた声が聞こえてきた。
なんだろう?、そう思ってチラッと布団をめくってみると、母の身体を後ろから抱きしめながら、服の中に手を入れているあの男の姿が見えた。
駄目だったら、そう母は口では言っていたけれど、別に嫌がる様子もなくて、されるがまま次々と服を脱いでいった。
結局全裸になると自ら脚を開いて、男がソコに顔を埋めたと思ったら、ああん、ひゃあん、そう母は気持ち悪い声をあげながら喜んだ。
それから母は身体の向きを変えて男の下半身に手を伸ばすと、そそり立った男自身を口に含んでジュブジュブと汚い音を立てた。
「アアンッ、おっきいっ!、スゴッ、こんな……スゴく、おっきくて……スゴく、キモチイイ!!」
男の上に跨がり喘ぎ声を上げながら腰と胸を揺らすその母の行動はかなりの衝撃的な光景で、ガンっとオレの頭と心に激しいショックを与えた。
慌てて頭から布団をかぶり直して耳をふさいだけれど、母の乱れる声と肌のぶつか合う音や混じり合う水音は、隣の布団にいるオレには直ぐ耳元で聞こえているようで、無駄だと解っていても更にきつく耳をふさいだ。
頭からかぶった布団の息苦しさに耐えきれず、ちょっとだけ隙間を開けると、今度はあの女を下に敷いて、ギラギラとした目つきで激しく揺さぶっている男の姿が見えた。