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【テニプリ】闇菊【R18】

第48章 【ケツイトカクゴ】




「……英二くんは……いません……」

『いないって……どこに……?』

「……わかりません……」


他の人のところに……、そうポツリと呟くと、堪えきれずに涙が溢れ出した。


『他の人のところって、そんなはずない!』

「いいえ……誰のところに行こうと、私には関係ないって……だから……」


普段、とても穏やかな不二くんの、珍しく激しい物言いに戸惑いながらも、英二くんの私に向けられた冷たい言葉と態度は間違いではなくて、ただひたすら首を横に振った。


『……聞いてもいいかな?あの後、何があったの……?』


あの電話の後……、そう少し戸惑うように聞いてくれる不二くんに、私が英二くんのお願いを聞かなかったから……、そう答えると、尚更胸が痛んで苦しかった。


『お願いって……?』

「……言えなかったんです……どうしても……、言ったら全てが終わってしまいそうで……」


でも、言わないことで、結局本当に終わっちゃった……
バカみたい……思わず自分に自嘲した。


『もしかして、英二に好きか……聞かれた?』


どうして……?、そう不二くんが何故そのことを言い当てたのか戸惑う私に、そうなんだね?、そう不二くんは辛そうな声で答えると、僕も……ううん、僕だけじゃなく仲間みんなも聞かれたからね……、そう静かにため息を付いた。


『小宮山さん!英二、いつものバッグ、持って行った!?』

「バッグ……って、ここにありますけど……?」


ハッとしてそう声をあげた不二くんに戸惑いながら答えると、まずいな……、そう少し考え込むように不二くんは声を潜めた。


不思議に思って首を傾げると、でも自宅にいれば大五郎がいるから……なんてブツブツ言う不二くんに、あの、大五郎もここに……そう声をかけた。


どうしたんだろう、不二くん……?


不二くんの考えがよくわからずに戸惑っていると、小宮山さん!そうもう一度不二くんは声を張り上げた。

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