第48章 【ケツイトカクゴ】
♪~
再度鳴り響いた携帯電話。
涙でよく見えないディスプレイを確認して、その名前に更に涙があふれ出す。
うまく動かない指先で必死に通話をタップすると、もしもし……?そう震える声で呟いた。
『英二!!あんた、大丈夫なの!?』
携帯から聞こえるかーちゃんの声に、少し胸が軽くなる。
電話の向こうの心配そうな母の声と、その向こうで、英二!?ちょっとお母さん!英二、出たの!?そう大騒ぎするねーちゃん達の声。
かーちゃん、オレのこと好き……?、震える声で呟いた。
『当たり前でしょ!大好きよ!』
「とーちゃんは?とーちゃんもオレのこと好きかなぁ……?」
『大好きに決まってるでしょ!』
「にーちゃん達は……?ねーちゃん達は……?」
『あの子達も、おじいちゃんも、おばあちゃんも、みんなみんな大好きよ!!』
本当……?本当に本当……?何度も何度も繰り返す。
その度に面倒くさがらずに、大好きを繰り返してくれるかーちゃんと、何?好きかって?大好きよ!愛してるってば!!そう後ろで叫ぶねーちゃん達……
そんな家族の暖かい声に、抑えることができず、うわぁぁぁ……、そうガキみたいに声を上げて泣いた。
『英二!?苦しいの!?』
苦しいよ……かーちゃん……
ごめん……心配かけて……本当に……ごめん……
『大五郎は!?持って行ってるんでしょ!?ちゃんと近くにあるの!?』
大五郎……小宮山んとこに置いて来ちゃったよ……
だって、小宮山だって今頃、すげー泣いてんもん……
オレが泣かせたんだから、せめて大五郎くらい貸してやんなきゃじゃん……?
『今、どこ!?近くなの!?迎えに行くから場所言いなさい!』
迎えに……来て貰おうかな……
これ以上……1人で……いたくないよ……
「かーちゃん……オレ、今さ……」
震える身体を抱きしめながら、消えそうな声で呟いた……