第48章 【ケツイトカクゴ】
♪、♪、♪……
『当たり前だよ』
『好きに決まってるじゃないか!』
『嫌いじゃないっすよ?』
『お前は大切な仲間だ』
続々と届くメッセージ。
みんな、何も言わずに察してくれる。
おチビや手塚まで……アメリカとドイツって今、何時なんだろ……?
つうか、日本にいるやつらこそ、もう寝てただろうにさ……
♪~
すぐになる呼び出し音。
ディスプレイの名前に戸惑って、それを受けることが出来ずただ画面を見つめる。
『小宮山さんも英二のこと、大好きだよ?』
呼び出し音が止まってからすぐに届いたLINE。
ああ、解ってるよ、不二、ちゃんと解ってんだけど……だけど、すげー不安で苦しいんだ……
苦しい……
息ってどうやってすんだっけ……?
ベンチにうずくまって必死に苦しい胸を押さえる。
『英ちゃん、おはよう、ふふ、お寝坊さんね?』
『英ちゃん、窓開けて、今日は徹底的に掃除するんだから!』
『ふふ、英ちゃんったら、駄目よ、もう』
英ちゃん、英ちゃん、英ちゃん____
頭の中で何度も繰り返すあの女の声。
うっさいんだって!やめろよっ!、そう耳をふさいで大声を張り上げる。
『……英二、なによ、その目……?』
『ほんと、可愛くない……!』
『だから邪魔なのよ……消えて?お願いだから……』
激しい二面性。
その時々で態度が一変するその様子に、どうしてよいかわからず、ただ戸惑うことしかできなかったあの頃の自分。
あの女の機嫌のいいときの笑顔と狂気さえ感じられる歪んだ顔が、頭の中でグルグルと繰り返して離れない。
「英二くん……ありがとうございます」
「もう、本当に英二くんったら……!」
「英二くん……あの……?」
嬉しそうに頬を染める笑顔、頬を膨らませながら拗ねるその様子、不思議そうに首を傾げて戸惑う仕草……
英二くん、英二くん、英二くん____
小宮山……小宮山……小宮山……!!
もう心と身体がバラバラだ……