第48章 【ケツイトカクゴ】
フギャ!!
「キャッ!!」
大五郎を抱えたままベッドに倒れ込んだ為に、いつの間にか部屋に入り込んで寝ていたネコ丸に気が付かず、その小さい身体に体重を預けてしまい、驚いたネコ丸が毛を逆撫でる。
ごめんね、慌ててそう謝るも、ネコ丸は機嫌を損ねてしまったらしく、ガタガタと音を立ててベッドの下に駆け込むと、ウー……っと私の様子をうかがいながら低いうなり声をあげた。
「ごめんねったら、ネコ丸、私、気が付かなくて……」
そっとベッドの下を覗き込みながら手を伸ばすと、途端にフハァーっと威嚇したネコ丸に手の甲を引っかかれる。
「痛っ……」
ネコ丸まで私を拒むの……?
ごめんねって謝ってるのに、おまえまで私から離れていっちゃうの……?
ネコ丸のその様子に、いくら謝っても呼び止めても、何も言わずに私に背中を向けた英二くんを思い出して、またどうしようもなく涙が溢れた。
♪~
突然鳴り響いた携帯の着信音に顔を上げる。
英二くん!?そう慌てて駆け寄り、ディスプレイの名前にため息を落とす。
ごめんなさい、不二くん、私、今は電話できる状態じゃないの……
この状況でとても不二くんと話をする気になれなくて、心の中で謝りその通知音に背を向ける。
数回のコールの後に切れたその電話は、またすぐに鳴りだしては切れて、それをもう2回繰り返した。